小学生の無益な殺生

小学生の無益な殺生

小学生の無益な殺生

小学校の高学年のころ。

高熱が出て、学校を休んで病院に行った。
1度目に親に連れられて行った診察のことは、頭痛が酷くてあまり記憶にない。
注射をうってもらい、薬を受け取り、帰って寝込んでいた。

それから数日後、ある程度体調はよくなったけれど、また病院に行くことに。
診察はすぐに終わって、注射もうたれなかった。
薬の処方と会計を待っている間、母親に「横の公園で遊んでくる」と伝えて、病院の横の小さな公園に向かった。

お世辞にも綺麗な公園とは呼べず、桜の木にはたくさん毛虫がついていた。
子供だった俺は、毛虫を棒でつついて落として、石を上において踏み潰して遊んでいた。
毛虫には嫌悪感があったし、直接は触れなかった。

その公園の毛虫もいじめ殺そうと、良い感じの棒を探していると、公園の隅に二十歳くらいの女の人がいるのに気が付いた。
何か触っているようだったが、棒探しに夢中だったからそれほど気にかけていなかったが、突然後ろから声をかけられた。

振り向いてみると、女の人に話しかけられていた。

顔は覚えていないが、不気味な印象はの残っている。
その女は、手の先から肘くらいまでびっしりと毛虫をはわせていた。
そしてこう言った。

「毛虫は悪くないよ?かわいいよ?」

その両手を、俺の顔に向けて伸ばしてきた。

「うわーーーーーーーー!」

と叫び声をあげた瞬間、後ろから母親の呼ぶ声が聞こえた。
その声がスイッチとなり、俺はその女からダッシュで逃げて、母親の元へと駆け寄った。
すぐに振り返ったが、もう女はいなかった。

母親も、俺が何もいない空間を見ながら後ずさって、突然叫びだしたから驚いた、と言っていた。

それからというもの、俺は無益な殺生をしなくなった。

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