一人暮らしのアパートに現れる幽霊
大学生だった頃の話。
友人が家に泊まりに来いと言うから、一人暮らしの狭いアパートへと泊まりにいった。
当時の俺は、彼女と別れた直後だったということもあって、酒を買い込んで遊びに行ったわけだ。
アパートでは、酒を大量に飲み、いつの間にか眠ってしまっていた。
時刻は深夜、俺はふと目を覚ました。
横に寝ている友人に何気なく目を向けると、横になる友人の身体の上に、誰かが乗っているのが見えた。
女性のように見える。
グレーのTシャツ、黒っぽいスウェットパンツの女性。
俺は酔っぱらった頭で
「こいつ(友達)、俺が寝てるからって彼女呼び出したな。イチャついてやがる。」
と思った。
俺が彼女と別れたばかりだったこともあり、頭にきてしまい、つい怒鳴ってしまう。
「おい、こら!」
次の瞬間、女性の姿は消えてなくなり、友人は飛び起きた。
その後、友人の話を聞いてみると、先ほど上に乗っていた女性は人間ではないのだという。
毎晩、眠ると現れて、首を絞めてくるのだとか。
友人が目を覚ますと消えるらしい。
俺がイチャついているように見えたのは、まさに首を絞めている最中だったようだ。
この女性が友人の妄想ではないということを証明したくて、事情を説明することなく俺を泊まらせたということだった。
迷惑な話である。
謝る友人の首には、赤い痕が見えた。