寮のベランダの怪 貞子のようなもの

寮のベランダの怪 貞子のようなもの

寮のベランダの怪 貞子のようなもの

学校の寮に入寮して、約3ヶ月程経ったころの連休だった。

俺の部屋は303A号室。

連休中、周りの人間はほぼ帰省しており、向かいの部屋、両隣の部屋、斜め向かいの部屋の住人も留守だった。

気にせず勉強やネットをしていたのだが、急に部屋の電気が消えた。

「あれ?」

廊下側にある電気のスイッチを押して、再び電気を点ける。

でも、3分ほど経つと、、また電気が消えてしまった。

「誰かのイタズラか?」

と思い、ドアの近くで息を潜めて待機した。

すると、また3分ほどで電気が消える。

今だ!

電気が消えた瞬間、ドアを勢いよく開けたのだが、そこには誰もいない。

タイムラグはせいぜい1~2秒。

この時間では、隠れることはできないはずだ。

おかしいな・・・

蛍光灯がおかしくなったのかな?直してもらわないと、と思いつつ自分の部屋に目を向けると、ガラス戸の向こうのベランダに、真っ白いワンピースのようなものを着た、モジャモジャ頭の人らしきものが横切った。

驚いてベランダへ出て、そちらに目をやると貞子のように髪を前に下ろしてうつむいているモノが、宙に浮いていた。

そしてそれは、ユラユラと不気味に揺れ動きながらこちらに近づいてきた。

怖くなってすぐに部屋に逃げ込むと、ガラス戸を閉じ鍵をかけると、カーテンも閉じた。

布団の中に潜り、そばに置いてあったお守りを握り締めた。

すると、ペタペタという音が聞こてきたのだが、その音はバンバンバンバンという音に変わっていった。

その間ずっと、がくがくと震えることしかできなかった。

次に、カチャッ・・・という音が聞こえると、ガラガラガラとガラス戸の開く音も聞こえてくる。

恐怖は最高潮で、心の中で般若心経の知っているところだけを、ひたすら念じていた。

・・・いつの間にか寝てしまっていたようで、目を覚ますと次の日の10時だった。

起きて、ガラス戸を見ると、ガラス戸は閉まっていた。

あのときガラス戸が締まる音を聞いていなかったので、「ああ、夢だったのかな?」と思った。

でも、カーテンを開けてみて、絶句。

悪戯とかいうレベルではなく、ガラス戸全体にびっしりと手の跡がついていたのだ。

気持ち悪いため拭こうと思い、鍵を外そうとすると、手に何か濡れたような感触が伝わってくる。

見てみると、泥というか土が混ざった血のようなものだった。

嘘だとか創作だとか思われてしまいそうだが、2年前に起きた実話だ。

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