都市伝説的な怖い話 配達員
Aさんは大学生のころ、お中元配達のバイトをしました。
自分の車を使って、配達先の家を回る仕事。
たくさん回ると、時給以外にも報奨金が出る美味しい仕事でした。
その日も、暗くなるまで配達をし、次が最後の1件となりました。
そこは大きめの家で、インターホンを押すと、 中から感じの良い中年の女性が出てきました。
その女性(奥さん)は、玄関の横の部屋に印鑑を取りに行きました。
印鑑を持ってきた奥さんは、どこか様子が変に思えました。
突然おかしなことを言い出すのです。
Aさんに向かって、
「荷物の中身がおかしい。開封して中身を詰め直したでしょ?あなたがやったの?」
と、ワケの分からないことを言いだすのです。
身に覚えのないAさんは、誤解を解こうとしても、奥さんは聞く耳持たず。
「正直に言いなさい!今、営業所に電話するから、上がって!」
と、Aさんを半ば無理矢理、家の中へと連れ込むと、扉を閉め鍵までかけました。
Aさんは、必死で
「そんなことしてません!」
と訴えますが、奥さんはそれを無視して、電話をかけ始めました。
でも、電話の様子がおかしいのです。
営業所に電話すると言っていた奥さんですが、会話の内容が全く違いました。
「もしもし、警察ですか?今うちに、荷物の配達の人が来てるんですけど・・・印鑑を取りに行くときに、ふと窓から外を見たら、配達の人の車に、刃物を持った男が乗りこんで、そのまま後部座席に隠れたのが見えたんです!」
そして、奥さんは電話が終わると、Aさんに言いました。
「ごめんね。気が付かれると、逃げられてしまうと思って・・・」
今までの態度が、すべて演技だったことを打ち明けてくれたのです。
しばらくすると、警察が到着し、車に乗り込んでいた刃物を持った男は逮捕されました。
逮捕された男は、精神的におかしい人だったようで、ニュースにはならなかったようです。