身近な恐怖感 友達からの恋バナ自慢
大学生のころ。
友達のAに、遠距離恋愛の彼女が出来たらしく、毎日のろけ話がウザかった。
ある日、Aの家で遊んでたときのことだ。
午前2時頃、Aが眠気に負けて寝落ちしたんだ。
そのときに俺と同じく、Aののろけ話に嫌気がさしていた別の友達Bが、
「Aの携帯で、Aの彼女にイタ電しようぜw」
と、イタズラの提案を持ち掛けてきた。
冷静に考えるとDQNな行動だし、反省もしているけれど、酒が入ってたこともあり、ノリノリになってしまった。
Aの携帯をこっそり開くと、まずはメールを見てやろうと受信ボックスを開いてみる。
そこには、Aの彼女の名前がずらーっと。
ちょこちょこと読んでみたところ、甘々なメールばかり。
次は、送信ボックスも覗いてみる。
これまた甘々なメールの数々に、俺とBは爆笑。
同時になんだか腹立たしさも覚えてしまい、これはもう本当にイタ電するっきゃないということになった。
なぜだか着信履歴の欄に、Aの彼女の名前はなかったので、アドレス帳を探して、彼女に発信。
出るかなー、とワクワクしていると、部屋に謎の着信音が鳴り響く。
「・・・お前の携帯?」
Bが聞いてくる。
「いや、俺のじゃないよ、お前のじゃないの?」
そのときAの部屋にいたのは、俺とAとBの三人だ。
俺の携帯でもなく、Bの携帯でもない。
Aの携帯は、今俺が持ってる。
この部屋に、もう一台携帯があるはずがない。
Aの彼女に電話をかけた途端に鳴り出した、謎の携帯音。
これが指し示す事実は、まぁ、1つしかない。
音の出所を探してみた。
Aがいつも持ち歩いている鞄の中から音がしていた。
開けてみると、水色の携帯を一台発見。
それを、恐る恐る開くと、画面には着信の表示。
Aの名前が出ていた。
「・・・・・こいつ、なにしてんだよ。。。」
Bが、本気で引いてる。
俺もゾッとして、酔いが醒めてしまった。
幸い、Aは起きることはなかった。
Aの携帯二台から、それぞれの発信と着信履歴を消し、何事もなかったかのように翌朝も振る舞った。
全く眠れなかったけど。
それ以来、Aとは疎遠になっていったけど、その後も何度かのろけ話を聞いた。
大したこと無い話なんだけど、事実を知っている以上、それが怖かった。