地下鉄の怖い話 窓に映らない人
22時頃、俺は地下鉄に乗っていた。
何もすることがなく、ボーッと窓を見つめてた。
少し違和感を感じる。
そして気が付いた。
隣の人が、窓に映ってないんだ。
当然びっくりしたけど、錯覚かもしない。
自分の見間違いを疑って、何度も何度も見た。
でも、隣の隣の人は映ってるし、他の人もみんな窓に映っている。
隣の人も、何度も何度も見ている俺のことを窺ってるような目で見てきた。
そして、目が合ってしまった。
そしたら、なにか言いような眼差しを俺に向けてくる。
その人と俺が窓に映ってる間の、何もない空間を目で教えているかのように。
窓には映っていないその人は、肉眼で隣を見るとちゃんといる。
で、隣の隣の人も俺の異変に気が付いた様子で、俺が降りる駅で一緒に降りてくれた。
そして、ジュース奢ってくれた。
ガタガタと震えながらもお礼を言うと、その人は一言。
「あまり気にするな。」
と。
無理だった。
あんなもの見たら気になってしまう。
都会って、怖いと思った。