ミステリーな話 夢の中で出会った老婆
もう何年も前に見た夢だけど、今でもはっきり覚えてるんだ。
夢の中で、俺は家から10キロほど離れた、おじいちゃんの家まで遊びに来ていた。
空は暗く、うっすらと月が浮かんでいるのが見える。
理由はわからないけど、俺は家に帰ろうと走っていた。
途中の道で、じいちゃんの革靴が落ちているのを見つけた。
それは、じいちゃんのよそ行き用の靴だった。
なんで、ここに落ちているんだろう?
と思うものの、その靴を拾うととくにかく帰路を急いだ。
しばらく進むと、道路脇の街灯の下あたりに、着物姿で背の小さなおばあちゃんが見えた。
少し不気味な感じの老婆だった。
薄気味悪かったので無視して通り過ぎようとしたら、
「○○さん・・・」
と、俺のフルネームを呼ばれた。
驚いて、
「なんで?俺の名前を知っているんですか?」
と尋ねると、
「もう、こんなに大きくなられて・・・前は、あんなに小さかったのにね・・・・」
と少し嬉しそうな表情で話しかけてくる。
「あ・・・すみません。あなたのこと、覚えてないんです。」
このおばちゃんに構ってないで、今は早く家に帰りたかった。
なにより、少し怖かったし逃げ出したい気持ちも強かった。
おばあさんは、俺の言葉を聞くと急に怖い顔になり、
「なぜ、覚えていらっしゃらないのですか?」
と、俺の肩を強く掴んで叫び出す。
ここで、目が覚めて夢の続きはわからない。
次の日。
夢で謎の老婆がいた街灯の下のところで、じいちゃんが車に轢かれて死んでしまった。