バイクで通りかかった線香の香りのする自動販売機
あるとき、50ccのレプリカを買ったときのこと。
車の免許を持っていないころの俺は、原付で走ることがなによりの楽しみだった。
当時頻繁に走っていた場所は、自宅から約20分ほどのとこで、山に囲まれたような「ど」がつくくらいの田舎だった。
人もあまり住んでいない。
家は、100mおきにあるかないかレベル。
もちろんのように、そんな場所には街灯だって少ない。
昼間は、トラクターが走ってる。
その道は、道幅は広く信号がない。
そして、19時以降になると一般車両や警察も来ない道だった。
山道のためカーブが多く、俺のような初心者が走るには最高の道だった。
その日は、22時になったのを見計い、一人バイクでその地区に向かう。
途中スタンドで、タンク一杯にガソリン入れると、狂ったように飛ばす。
おそらく、時刻はそろそろ午前0時を回る頃だろう。
2時間走り続けて、さすがに眠気に襲われてきた。
自販機見つけて、コーヒーでも買って帰ろうかと思っていた。
帰り道で自販機を探しながら走っていると、遠くにポツンと一台の自販機を見つけた。
「よし、あそこでコーヒー買おう。」
自販機の前で停まると、財布出して金を入れようと試みた・・・
でも、何か妙なのだ。
どこからか、線香のような香りが漂っている。
自販機の取り出し口には、泥のようなものが付着していて汚い。
飲み物も、コーラ以外が全部売り切れていた。
なんだか不気味で気持ち悪い。
ただ、かなり喉が渇いてたいたため、気にしないようにして120円を入れようとした。。。。
突然、自動販売機のライトが点滅した。
古い自販機だけど、ライトがついたり消えたりしているのは初めて見た。
バチバチバチバチ
と、大きくて凄い音をたてている。
手拍子のようにも聞こえる音で、点滅していた。
そっとするものを感じ、ここで飲み物を買うのは止めて、急いでバイクに跨り逃げるように走り出した。
後ろからはまだ、バチバチバチバチという音が聞こえてきて、怖さを煽られているようだった。
次の日。
大学の講義の後、もう一度あの自動販売機の場所に行ってみることにした。
今度は一人ではなく、友達を誘って行くことにした。
昨日と全く同じ道を友達の車で進み、例の自販機の場所へ到着した。
でも、おかしいのだ。
そこには、自販機がない。
その代わりに、しなびた花束と空き缶、線香が数本立ってるだけの場所だった・・・・