怖さ控えめな怪談 神の怒り

怖さ控えめな怪談 神の怒り

怖さ控えめな怪談 神の怒り

当時俺は高校3年生で、センター試験失敗で急な焦りが出てきてしまい、アホなことに勉強よりも神頼みに走ってしまったのであった。

近所の神社に、毎日、朝、昼、夕とお参りし受験成功を祈願した。

だが、受験は失敗してしまった。

まともに考えれば、受験の失敗は100%俺が悪い。

でも俺は、神社の霊験に疑問をぶつけたのだった。

毎日お参りしていた神社の神の力がどの程度なのか、試してみようと考えたのだ。

やり方はシンプル。

神社内の物を盗んでみて、罰が当たるかどうか試すというストレートな方法だ。

おそらく、受験に失敗したことでかなりやけくそになっていたのだと思う。

神社に行き、拝殿横の祠を見ると、木箱と平たい石が置いてあったから石を奪ってみた。

さらに、拝殿では

「ここの神に力があるなら、俺には一週間以内に罰が当たることだろう。」

と、言ってみた。

盗んだ平たい石を、自転車の荷台に紐でくくりつけると俺は神社を後にした。

それから、3日後。

その日、俺は友人の家まで自転車で出かけた。

雲行きが怪しく雨が降りそうだったから、傘を持っていたのだけど、走ってる途中に傘の先端が地面に接触したようなに感じた。

次の瞬間、俺は思い切り前方に放り出されて、凄まじい勢いで道路に叩きつけられた。

傘が地面に接触して、それが急ブレーキの役目になってしまい、走っていた自転車は前方へ一回転したのだ。

俺は、辛うじて顔が地面に激突せずに済んだが、今自分に何が起きたかよく分からず道路に倒れこんでいた。

そして、呆然となる。

追い打ちをかけるように、ぐるりと一回転して自転車の荷台が後頭部に落下してきたのだ。

荷台には、神社から盗ってきた石がそのままくくりつけてあった。

これが後頭部に直撃。

痛いなんてもんじゃない。

意識がしばらく飛ぶくらいの衝撃だった。

ここへきて初めて、神社の神の力を認めざるを得なくなった。

急遽、神社に走っていくと、石を返して平謝りした。

以降、俺は浪人の一年間は神社の神様へ謝罪参りと、賽銭寄進と自主奉仕(空いている時間を見つけて拝殿前を掃いたり)を行い、翌年春は無事受験に成功した。

もちろん、真面目に勉強もした。

やっぱ努力もしないで神様に頼ったり、ましてや八つ当たりなんてしてはいかんと思った。

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