不思議な話 放課後の勉強熱心な幽霊
あたしの父は、小学校の先生なんだ。
その日は、父の仕事が終わり、帰り際に各教室の電気消しに回っていると、ある教室に一人の男の子が残って勉強していた。
「もう、遅いから早く帰りなさい。」
と父は声かけた。
すると、その男子は「(勉強が)分からないところがあるから教えて欲しい。」と言うのです。
父は、その子に教えてあげました。
次の日。
昨日と同じように、教室の電気消しに行くと、またその子がいて、勉強をしていました。
それから、毎日のようにその子に勉強を教えてあげていました。
そんな日が、一週間ほど続いたのです。
ある日、父が男の子のクラスの担任に
「A君て子は、放課後いつもすごく熱心に勉強してますね。感心しているんですよ。たまには、誉めてあげてくださいね。」
と伝えた。
すると、その担任の先生は、戸惑った顔をする。
「え?A君って、A君ですか?確か、十年前に事故で死んだ子の名前ですよね?」
と。
そして、その日も父はいつものように放課後に、その教室に行きA君に勉強教えてあげた。
勉強の途中、
「A、お前は死んじゃないのか?」
と聞くと、A君は無言で席を立ち、そのまま壁の中に吸い込まれるように入っていった。