人間の怖い話 ホームレスのストーカー
友達が以前に体験した話。
仕事の帰り、駅を出て少ししたところでボロボロの服を着て痩せ細った30歳代後半ぐらいの女に声を掛けられた。
この辺りは、ホームレスが多い。
おそらくそれ系の人だろうと思って無視したけれど、なぜだかついてくる。
仕方がないので、先ほど駅で買ったパンを一つあげた。
ホームレスらしき女は、何回もお礼を言って去って行った。
次の日のこと。
仕事帰りに、同じ場所を通ると昨日の女がいて目が合ってしまった。
嫌な予感・・・・
早歩きで逃げようとすると、女はついてきた。
今日はあげる食べ物がない。
かといって、お金なんかあげたらこの先毎日付きまとわれるかもしれない。
そこで、走って逃げることにした。
30m逃げたところで、後ろを振り返る。
すると、その女はこちらをじっと睨んでいるようだった。
昨日、パンをあげてしまったことを後悔した。
また次の日。
あの女に会わないよう、この日は別の出口から出て帰宅したので、女とは会わずに済んだ。
それから、1週間経ったある日の帰り道。
ふと、後ろに気配を感じて振り返ると、あの女が自転車に乗ってニヤニヤこちらを見ていた。
ヤバい!
すぐさま走って逃げ出したのだけど、相手は自転車。
今回は逃げ切れない。
怖くなっていて、他人の家の庭を横切ってまで無我夢中で走る。
息を切らせながらも、なんとか自宅まで帰り着いたのだが・・・・なんと、女が自宅の扉の前に立っていたのだ。
もうここまできたら逃げても無駄だ。
「何なんですか?警察呼びますよ!」
と警告する。
女は、手に持っていた食べかけのあんパンをこちらに突き出し叫んだ。
「あたしゃ、つぶあん派なんだよ!こしあんなんて食えないから返そうと思ったんだよ!」
突然のことに呆気にとられてしまう。
差し出されたパンを受け取ると、その女は帰っていった。
次の日から、もう女に付きまとわれることはなかった。