幼少から続いてる恐ろしい体験

俺「あ、ありがとう」

A男「・・・・・・・」

D子「あまりにも恐ろしい念なの、多分これじゃ限界が来ると思う」
そう言い残して、D子は教室を出て行った。

教室から出て行ったD子をA男が追いかけたものの、D子はもう廊下に居なかった。
俺「何だったんだろう」

A男「さあ・・・」
突然現れて俺達にお守りを渡したD子、そのお守りも、俺の掌の3分の1程度の大きさだった。

A男「こんなんで防げるのかよ・・・」

俺「分からない、でも信じるしかないよ」

藁にもすがる思いだったが、俺はその効力を信じて枕下にお守りを置いて寝た。

しかし、その日、俺は夢を見てしまった。

だが、今までの夢とは内容が違った。

気が付いた時には、既にC菜が目の前に居て、俺を見据えていた。
眼球が無いので、表情は伺い知れないが、明らかに今までとは雰囲気が違う。

C菜「・・・・・・」
C菜が何かを言っている

C菜「・・・ない」

C菜「ゆるさな、い」

俺「!!!!!!!!!!」
その瞬間、俺は夢から覚めた。

俺「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・え?」

ふ、と枕もとのお守りに目をやると、お守りに小さなひっかき傷のようなものが出来ていた。
それ以来、小学生の間、C菜が俺の夢に出てくることはなかった。
もちろん、外泊をする際は、お守りを持ち出していたことは言うまでもない。

それからは、中学時代は何事もなく時が過ぎていき、無事に高校に入学した。
A男とは疎遠となり、D子は小学校5年の時に何処かに引っ越していった。
高校生活も、初めて彼女が出来たり、初体験をするなど、中々に充実した生活を送っていた。

そんな生活に陰りが見えたのは高校2年生の春。
彼女「ねえねえ、加奈子さんの噂って知ってる?加えるに奈良の奈に子って書くの」

俺「は?何それ」

彼女「夢でね、加奈子さんっていう女の子が現れて、死者の世界に連れて行こうとするの。寂しい寂しいって言いながら手を引っ張って来るんだって。」

俺「ふーん」

彼女「その子ね、目と歯が無くて、真っ黒な空洞なんだって!」

俺「う・・・」
一瞬、まさかC菜のことかと思ったが、C菜は加奈子なんていう名前ではない

彼女「で、それを拒否し続けると、こっちの世界にやって来て直接連れて行こうとするんだって!」

俺「くだらない話だな」

彼女「あ、信じてないでしょ!」

俺「よくある単なる噂でしょ」
どうせ、どこにでもある都市伝説の一つだろう、気にも留めなかった。

そんなある日

友人A「なあ、俺、加奈子さんの夢見ちまったんだ・・・」

俺「は?」
聞いてみると、俺が前に彼女に聞いた加奈子さんの夢を友人が見てしまったらしい。

俺「気にすんなって、どうせ怖い話し聞いちまったから夢で出てきただけだよ」
この友人Aは凄く良い奴なんだが、かなりのビビリなのだ。

友人A「そ、そうかな」

俺「そうだって、あんまり深く考えるなよ」

友人「そうか・・・」
しかし、本当のことを言えば、俺は妙に引っかかりを感じていた。

その晩、俺は悶々と噂のことを考えていた。

小学生以来、何年も見ていない夢、それとそっくりな内容の夢が噂になっている。
真実かは分からないが、友人は実際に見てしまったとまで言っている。

俺「そうだ!お守り!!」
俺は常に枕下に入れておいたお守りを確認した。

俺「・・・・・え?」
お守りは確かにそこにあった。しかし、既にお守りの体は成していなかった。
お守りは、引きちぎったように二つにされており、赤い液体が付着していた。

俺は、顔面が真っ青になりお守りを放り投げた。

俺「ど・・・どうして」
その日は一睡も出来なかった。

翌日、俺は生きた心地のしないまま学校へと向かった。

そして学校の休み時間
俺は昨晩のショックが抜け切らず、頭を抱えていた。

どうしてお守りがあんなことに?
中学の時は何事も無かったのに何で?
もしかして加奈子さんの噂と関連があるのか?
疑問は尽きない。

クラスメートA「加奈子さんの噂って知ってる?」

クラスメートB「知ってる知ってる!」
俺は一瞬ビクッとなったが、クラスメートの会話に耳を傾けた。

クラスメートA「連れていかれるって噂だけど、B組のAさんは夢を見たって言ったっきり学校に来てないんだって!」

クラスメートB「こわーい!!」

俺「俺にもその話し、聞かせてくれないか」

クラスメートA「えっ」
突然の俺の登場に面食らった様子だったが、聞かない手はない。

クラスメートA「でも俺君ってそういうの信じないんじゃなかったっけ?」

俺「うん、でもまあ、ちょっと気になって」

クラスメート「ふーん、まあ良いけど」

こうして俺は、加奈子さんの噂の内容を聞いた。要約するとこうだ。

1、名前は加奈子さん
2、噂を聞いた人の夢に現れる
3、中学生か高校生くらいの女の子
4、長髪黒髪でチェックのシャツにスカートを履いている
5、眼球が無く、真っ黒であり、歯も舌もない
6、手を引っ張って連れて行こうとする
7、何日も夢を見ると、現実に現れて連れに来る

・・・ん?
俺は違和感を感じた。
俺が見ていた夢と比較してみてどうだろうか。
5、6は正に俺の見ていた夢と合致する。
しかし、1、2、3、4が不可解だ。

まず、C菜は加奈子なんて名前じゃない、更にはクセっ毛のC奈と比べて容姿がかけ離れている。
仮に加奈子さんの夢が俺の見ていた夢と同じだとしても
あくまでC菜は俺とA男を連れて行きたいのであって、他人の夢に現れる意味が分からない。

そして、中学生くらいの女の子・・・C菜が亡くなった時は小学校4年生だ、中学生、ましてや高校生と見間違える可能性は低い。

うーん、考えれば考えるほど分からなくなる。
俺の頭の中はクエッチョンマークだらけだった。

俺「何で加奈子さんの噂って言われてるの?」
俺は率直に尋ねてみた。

クラスメート「知らない、夢に出てくる女の子が加奈子さんっていうんじゃないの?」

俺「うーん」

C菜の夢とは相違点が多いものの、全く同じ部分もある。
目と舌と歯が無くて、手を引っ張って行く少女・・・これは偶然の一致なのか?
更には、引きちぎられたお守り・・・。

ダメだ、考えれば考えるほど分からなくなる。
様々な疑問を抱えたまま、俺は帰路に着いた。

その日、お守りが無くなったことにより、夢を見てしまうのではないかと危惧したが
夢を見ることはなかった。

それからは、何事もなく日常が過ぎていった。
C菜の夢を見ることもなく、平和だった。
しかし、相変わらず加奈子さんの噂は続いていたが・・・。

そんなある日を境に、友人Aが学校に来なくなった。
まさか・・・とは思ったが、さしたる証拠も無いのに安易な考えは出来ない。
そんな心配を他所に、クラスメート達は勝手に噂をしている。

クラスメートA「絶対、加奈子さんに連れて行かれたんだよー」

クラスメートB「夢を見たって言ってたもんねー」
クラスメート達の無神経さに軽い苛立ちを覚えたが、確かに友人Aのことは気になる。

俺「調べてみるか」

しかし、友人と言っても携帯の番号やアドレスを知っているほどの仲では無かったため、まずは友人Aと親しかったクラスメートに話しを聞くことにした。

俺「なあ、最近Aを見ないけど風邪か何かか?」

クラスメートC「俺も分からねえ、メールの返事も無いし電話しても出ないんだよ」

俺「そうか、ありがとう」

これは担任の先生に聞いてみるのが早いだろう。

俺「先生、最近Aって何で休んでるんですか?」

先生「んー家庭の事情だ」

俺「家庭の事情?」

先生「ああ、落ち着いたら来るんじゃないか」

俺「そうですか」
そう言いつつも、俺は何か釈然としない気持ちを抱えていた。

そこで俺は直接Aの家へ行って聞いてみることにした。

何でここまでしているのか俺にも良く分からない。
でも、やはりあの噂はあまりにも気になる。
ここか・・・

翌日、俺はクラスメートに住所を教えて貰い、放課後の時間を使ってAの家までやって来た。
Aの家はさほど学校から離れておらず、ごく普通の住宅街にあった。
一軒家だったが、かなり古い作りで、所々がひび割れている。
俺「A、居るかな、居たとしても何を話せば良いんだろうか」
突然押しかけてきて、迷惑だよなあ・・・
そう思いながら、玄関のチャイムを押す。
・・・

・・・

返事がない。

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