切ない怪談 受け入れられない現実

切ない怪談 受け入れられない現実

職場の話。

俺の仕事先の先輩は、面倒見がよく、仕事もそれなりにできる人。

そして、家族のことを異常と言っていいほど大切にしている。

一度奥さんや娘さんのことを話し出すと止まらない。

家族の写真をいつも持ち歩き、見せびらかしてくるし、休日明けにはいつも家族とどう過ごしたのかを聞いてないのに話してくる。

ここまでなら、家族思いのパパって感じで好印象だろう。

だが、大きな問題が隠されているのだ。

実は、先輩の奥さんと娘さんは、すでに他界されてる。。。。

家族が死んだことを受け入れられないのかもしれない。

このこと以外は、とても頼りになる先輩。

だから、なるべく家族の話には触れないようにしていた。

・・・・年末に忘年会があり、その年の会社は景気が良かったこともあり豪勢な飲み会となった。

先輩も上機嫌で酒を煽り、しまいには泥酔に近い状態になってしまった。

そんな状態の先輩を一人で帰すわけにもいかないのだが、「家族が待っている」という理由で、「帰る」の一点張りの先輩。

上司の命令で、俺ともう一人の同僚が、先輩を送ることになった。

酔いつぶれた先輩を抱えて、なんとか先輩宅に到着した。

一人暮らしの家だから、当然のように中は真っ暗だ。

先輩は真っ暗なわが家を見て、「(家族は)もう、寝ちゃってるなー。」 と言って笑っている。

「お茶くらい飲んでいけ」

という先輩の誘いを断り、俺たちが帰ろうとすると、「ガチャ」と玄関の鍵が勝手に開いた。

「なんだ?起きてたのか。お土産あるぞー!」

嬉しそうにしている先輩。

俺たちは、挨拶をすると逃げるようにその場を離れた。

帰り道は同僚と二人で恐怖で震えてしまった。

「おい、先輩さ・・・・誰と住んでるんだ?」

・・・・・今でも先輩は、誰も写ってない景色だけの写真を見せてくれて、奥さんと娘さんの写真だと言っている。

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